BNPガイドで利尿剤を使えるのか? 血行動態と臨床所見からみたうっ血の違いについて

BNPだけを指標にしては治療できない。血行動態としてうっ血がきて、その後に臨床的なうっ血所見がくる


最近は専ら病歴と身体所見が重要視されていて、それはそれで大変良いことなのですが、病態生理の理解と検査ももちろん大事なのです。それが少し意識できる内容です。

臨床的うっ血と血行動態的うっ血


冒頭で書いたように、うっ血といっても、血行動態のうっ血と臨床所見として現れるうっ血は少し違います。

  • 臨床的うっ血(Clinical Congestion):頸静脈怒張、下腿浮腫、胸水貯留
  • 血行動態的うっ血(Hemodynamic Congestion):肺動脈楔入圧上昇、肺動脈圧上昇


を表します。


うっ血は色々パターンがあるにはありますが、多くはやはり左心不全から始まりますよね。ということは、まずは左室の圧が上昇して(=LVEDPの上昇)、左房から血液の交通渋滞が始まるわけです。(=左房圧LAPの上昇)

左房圧が上昇するということは、肺動脈楔入圧(PAWP)も上昇し、肺うっ血が生じて、更にうっ血がひどくなれば右室、右房と続いて静脈系のうっ滞、胸水貯留につながる訳です。


つまり、頸静脈怒張や下腿浮腫、胸水貯留より先にPAWPの上昇など、血行動態としてのうっ血が前に生じて入るはずなんです。


この血行動態的うっ血が生じ始めて数日経過したあとに、臨床的なうっ血が生じて来ます。


そしてその後に耐えられなくなった患者が病院に来るイメージです。

自分の経験則ですが、大体来院する一週間前に「下腿浮腫・むくみ」といった 臨床的なうっ血を訴える人が多いイメージがあります。

そうであるならば、LVEDPと比例するBNPであれば、

臨床的なうっ血が来る前に血行動態的なうっ血が予測できるのではないか?

と考えた人がいたようです。

これが、BNPガイドに治療して予後を改善できるのではないか、という研究に繋がったようですが、しかしその結果は有用ではなかったようです。

不思議ですね。


血行動態的なうっ血はLVEDPの上昇を表していますが、とはいっても、BNPで全てを見通せる訳ではないようです。

参考文献

Hospitalist 心不全

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