急性心不全は3つの軸で考える話

①血行動態②基礎心疾患③増悪因子 の3つで考える


急性心不全の増悪は、基本的には上記の軸で考えるとわかりやすいとされています。

一般的な救急内科対応として異なるのは、多分①の血行動態です。


②基礎心疾患③増悪因子に関しては、内科的なアプローチで結構経験するので、研修医でも時間をかければ何とかなることが多い印象ですが、 血行動態は普段の外来でそこまで意識しているか?というと、それほどではないと思います。

その2つとは、更に少し別の軸で考えなくてはなりません。その意識があれば、急性心不全の苦手意識は減るのではないかと思います。

①血行動態


血行動態の評価するためには、Nohria-Stevenson分類を用います。

これは、右心カテーテルで評価して病態生理的に心不全を分類するForrester分類を、身体所見で表したものです。

うっ血所見と組織低灌流所見から4つに分類します。
まず最初に確認すべきことは、「組織低灌流所見がないかどうか」です。

末梢循環が破綻していれば、カテコラミン、PCPS、IABP等の検討が必要になります。

大半の心不全は、Wet-Warmの分類に入りますので、治療は利尿薬、血管拡張薬、NPPVになると思います。

一方で、死亡リスクが最も高いのはWet-Coldです。1年以内に50%が死亡ないし心移植となっているようです。 次点でWet-warmで、32%だそうです。

②基礎心疾患

ESCのガイドラインでは、MR.CHAMPHの語呂で紹介されています。外国は語呂が好きです。

これで覚えなくても、急性冠症候群、弁膜症、心筋炎、心不全、高拍出性心不全、肺塞栓症は忘れないようにしましょう。

・急性心不全を伴うACS

広範囲梗塞(前下降枝や多枝病変、左主幹部)陳旧性心筋梗塞+急性心筋梗塞自由壁破裂や心室中隔穿孔、急性僧帽弁逆流が生じることを前提に考えます。STが上昇していればすぐに血行再建になりますが、STが上昇していない場合でも、急性心不全を認めるNSTEMIであれば2時間以内のCAGが推奨されています。少しでも虚血の関与の可能性があればCAGとして、無理に薬物治療で粘らないことです。

・弁膜症

severe MR, AR, ASは初期10分以内に除外する必要があります。急性MR, ARは頻脈や逆流量が少ない影響で目立たない可能性があり、severe ASはLVEFが低下していれば、心雑音は低下していて聴取できないことがあります。身体所見も重要ですが、この場面では必ずエコーで弁膜症の評価をしてあげることが重要です。


・劇症型心筋炎


数時間から1週間程度の経過で、急激に血行動態が悪化する重症疾患です。ウイルス性、好酸球性、巨細胞性心筋炎等が鑑別です。 心筋炎は心臓を休ませてあげる必要があります。そのため、機械的なサポートの必要が生じる疾患ですので、早期に診断して慎重に経過をフォローする必要がある疾患です。急性心不全の治療介入をしてもすぐに反応せず、悪くなっていく場合に考えることが重要です。疑えば、CAGより虚血性心疾患を否定しておく必要もあります。

増悪因子について、次回記載します。


参考

Hospitalist 心不全

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