非侵襲的換気(NIV,NPPV)が心不全に有効な理由3つ/禁忌事項について

NIV開始も、挿管に切り替えも「粘らない」ことが大事


非侵襲的換気(NIV)に関して、エビデンスはかなり揃ってきていて、通常の酸素療法と比較しても、 有意なP/F比の改善、呼吸数・血行動態の改善、気管挿管率・死亡率の減少が示せています。


急性心不全では呼吸不全があってspO2 90%以下、呼吸数が 25回/分 以上であればすぐに導入することは、日本循環器学会のガイドラインでも推奨されています。

NIVの有効性について、効能を3つまとめてみようと思います。

①前負荷の軽減 ②後負荷の軽減 ③機能的僧帽弁逆流の減少

です。

前負荷の軽減


NIVは、陽圧換気を呼気でもかけることによって、胸腔内圧を陽圧に保ちます。 そのため、静脈灌流が胸腔内に入ってくることを阻害して、前負荷を軽減します。

一応、PEEP 30 cmH2O以上では、心拍出量を低下させてしまう可能性があるとされていますが、 現実的にPEEPを 30 cmH2Oかけることはなく(むしろそんな状況では肺の圧損傷を招きます)、心拍出量を低下させてしまう危険性もほぼないと考えてよいでしょう。

後負荷の軽減


胸腔内圧陽性化しているので、後負荷として存在している血圧に対して、血液を押し出しやすくなっています。

左室にかかる内圧と、外圧の差のことをTransmural pressureと言いますが、この圧が低下することで、左室から血液を送り出しやすくしています。

要するに、胸腔内を陽圧にすることで、送り出す側の圧力の補助をしている訳です。

機能的僧帽弁逆流量の軽減


心不全によって左室拡張末期圧、左房圧の上昇が生じて、僧帽弁輪が拡大することが知られていますが、この僧帽弁輪拡大により僧帽弁逆流の量が増えることを、機能的僧帽弁逆流(Functional MR, FMR)と言います。

NIVによるPEEPでも、FMRの改善が示されています。

絶対禁忌・相対禁忌について


絶対禁忌としては、ショック、心室頻拍、心室細動で、相対的な禁忌としては意識障害があります。


意識障害に関しては、例えばCO2貯留による影響であれば、NIVにより短時間で意識レベルが改善する報告も見られており、一度検討しても構わないでしょう。


肺炎に関しても同様に、挿管率が上昇したとする報告がある一方で、予後改善したという方向があります。喀痰の量が著明でない限りは検討可能だと思います。

注意としては右室梗塞、肺塞栓症などの心拍出量低下を生じ得る病態や、肺炎における喀痰量が著明に見られる場合の窒息・肺炎の増悪があります。

このような状況や、血行動態が破綻している状態、1時間たっても改善が見込めないような状況では、無理にNIVで粘らずに、挿管への移行を検討すべきです。

このように、NIVは酸素化改善+血行動態の改善をしてくれる、急性心不全診療における強力な武器のうちの一つです。 正しい適応と、その病態生理、禁忌について覚えておくとよいと思います。

参考

Hospitalist 心不全

Up to date 2019

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